(1)昭和40年(1965年) 人工飼育の開始
野生のコウノトリの数が12羽まで減少したので、絶滅を防ぐための最終の手段として、野生で暮らすペア(夫婦)を捕獲し、ケージの中で飼育しながら繁殖させる「人工飼育」を開始しました。このとき、私たちはコウノトリと「もう一度数が増えたら、きっと空に帰す」と約束しました。
(2)昭和46年(1971年) 野生コウノトリ絶滅
最後まで野生として残っていたコウノトリが衰弱した状態で保護されました。懸命の治療が行われましたが、その甲斐もなく死亡し、コウノトリは日本の空から姿を消しました。
(3)昭和40~50年代ごろ(1965~1984年ごろ) 苦難の連続だった人工飼育
ケージの中で飼育されたコウノトリは産卵はしましたが、無精卵であったり、孵化しなかったりで、ヒナは1羽もかえりませんでした。
国内唯一の生息地である豊岡で孤立した小集団となったために近親婚を繰り返して遺伝的に劣化していたこと、そして有機水銀などの農薬で体が蝕まれていたことが原因でした。
歳月が経てば、コウノトリの生殖機能も衰えてきます。昭和50年代の終わりには、飼育場は絶望感でいっぱいでした。