急峻な地形が多い但馬地域で、
古くから人々とともに
暮らしてきた但馬牛。
日本が世界に誇る
ブランド牛のルーツとして、
存在感が増しています。
「続日本書紀」にも登場
古来から続く優秀な血統
日本が世界に誇る「但馬牛」は、優れた伝統と血統を持っています。その起源は古く、平安時代に編さんされた「続日本書紀」で「耕運、輓用、食用に適す」と紹介されており、古来より優秀な血統として認められています。神戸ビーフや松阪牛、近江牛など人気のブランド牛は、但馬牛の子牛が各地で肥育されたものです。平成24年に実施された社団法人全国和牛登録協会の調べでは、全国の黒毛和牛の99.9%が但馬牛の「田尻号」の子孫であることが判明しています。
産地を守るために畜産経営を支援
但馬牛の繁殖農家は、高齢化などの影響もあり、この20年で約200戸が減少し、令和3年2月の時点で約140戸となっています。JAたじまでは、但馬牛の産地を守るため、畜産農家の経営支援として、低金利の資金融資、疫病発生時の対策支援などに取り組んできました。近年では、行政や関係機関と連携し、地域ぐるみで畜産経営を後押しする「畜産クラスター事業」を実施しています。
こうした取り組みのなか、インバウンド需要などに伴う高級牛肉市場の活性化、経営拡大に意欲のある若手生産者や新規就農者の増加などにより、急速に経営の大規模化が進行。管内の飼養頭数は最も少なかった平成27年の約3200頭から、直近では4000頭を超えるまでに増頭しています。
「但馬牛」のブランド化を推進
平成19年にはJAたじまが兵庫県内の関係機関を代表して「但馬牛(たじまうし)」を地域団体商標に登録。平成27年には、伝統的な生産方法やその風土によって育まれた高い品質を評価し、その名称を知的財産として保護する制度「地理的表示保護制度(GI)」に「但馬牛(たじまぎゅう)」「但馬ビーフ」が登録されました。
こうしたブランド化を後押ししているのが、100年以上続いている但馬牛固有の血統管理。明治時代後期に牛の戸籍簿に当たる「牛籍簿」が整備され、血統や体形、繁殖能力に優れた個体を選別しながら生産が進められてきたのです。
この長きにわたって実践されてきた但馬牛の繁殖・肥育文化を、JAたじまなどで構成する「美方郡産但馬牛」世界・日本農業遺産推進協議会が「日本農業遺産」に推薦。平成31年2月、「兵庫美方地域の但馬牛システム」として認定されました。
高い肉質が好評
日本一を誇る但馬家畜市場
昭和48年に開設された「但馬家畜市場」(養父市)は、平成19年に湯村家畜市場と統合し、但馬では唯一の家畜市場となりました。全国にある約100の市場のなかで、産地としての取り組みや肉質が高く評価されており、家畜市場として毎年上位にランクイン。令和元年には子牛平均価格で日本一を獲得しています。