水稲栽培の省力化目指して密苗の田植え実演会
水稲栽培における省力、低コストの実現に向けて、JAたじまは密苗の田植え実演会を管内3会場で開きました。水稲生産者、JAや関係機関の職員ら約100人が参加し、新たな栽培技術を実際に見て意見を交わしました。
JAたじまは、2020年を目標年次とした中期計画Plan2020で、多様な担い手の営農継続に向けた支援を掲げています。稲作におけるコスト低減支援として、密苗などの新技術の研究や導入に取り組み、農家手取りの向上を目指します。
密苗は、育苗箱に通常の2~3倍の乾籾を播種して高密度で育て、田植え時は慣行と同様に3~5本ずつ植える、ヤンマー株式会社が開発した技術。育苗にかかる箱やハウスの数を通常の3分の1ほどに減らせます。資材費用を減らすだけでなく、苗継ぎなどの作業時間も省力化できます。育苗期間が長かったり高温状態が続いたりすると、蒸れて病気になる可能性があるので注意が必要ですが、播種後の育苗管理は慣行と変わらず、特別な技術は不要です。
5月20日に養父市八鹿町八木のほ場で開いた実演会では、28.9aのほ場を半分に分け、慣行で育てた苗と密苗の田植えを実施。育苗箱の使用数、所要時間、労力や田植え後の苗の状態などを比較しました。慣行は21箱使ったのに対し、密苗の使用は10箱。苗箱の運搬や苗継ぎに要する時間はほとんどなく、作業の効率化が見られました。
実演会の参加者は、「栽培面積が大きく、少しでも費用や労働力を抑えるために日々勉強している。質、量を維持して作業を効率化できるなら、新技術の導入を積極的に検討したい」と話しました。JAの担当者は、「管理方法などの課題はあるが、低コスト化、省力化は期待できる。持続可能な農業へ、JAはさまざまな知識と技術を伝えることで農家を支えていきたい」と話していました。