特栽コシ「つちかおり米」・酒米「フクノハナ」 生産部会が但馬産業大賞を受賞
地域の発展や地域経済の活性化に貢献している企業、団体などを顕彰する平成30年度の「但馬産業大賞」に、JAたじまの生産部会「つちかおり米協議会」と「出石フクノハナ生産部会」が選ばれました。9月21日に豊岡市立総合体育館(豊岡市大磯町)で開かれた、但馬地域の企業が一堂に会す産業見本市「夢但馬産業フェア2018」の表彰式で、各部会がその取り組みを発表しました。
大賞は、但馬地域の企業や団体などの技術水準の向上と人材育成の契機とし、地域の活性化に資することを目的に、兵庫県但馬県民局が平成19年から毎年行っています。受賞者は県内の有識者で構成する審査委員会が、独自性や地域貢献度など大賞の審査基準に基づき、総合的に判断して全4部門から選出します。今回選ばれた同協議会と生産部会は、画期的な手法や技術により自然環境への負荷を減らしたとして、「自然と共生する環境創造事業部門」で大賞を受賞しました。
つちかおり米協議会は、化学合成肥料をほとんど使わず、農薬の使用も慣行栽培の半分以下に抑えてつくる安全・安心の特別栽培米コシヒカリ「つちかおり米」を栽培しています。昭和63年から生活協同組合コープこうべと契約栽培する同米は、現在、協議会員394人が但馬全域で約275㌶栽培し、平成29年度で栽培30周年を迎えました。審査では、但馬地域で最も歴史のある特別栽培米であり、その後の特別栽培米の礎を築いたことが高く評価されました。同協議会の杉岡富之会長は、「先人たちから受け継がれてきた取り組みが評価されてうれしい。今後も環境に配慮した農法で、安全で安心なおいしいお米を作り続けていきたい」と喜びを語りました。
出石フクノハナ生産部会は、全国でも豊岡市出石町でのみ栽培される酒造好適米「フクノハナ」を栽培しています。「フクノハナ」は、昭和45年ごろから県の酒米の奨励品種として全国各地で作付けされていましたが、昭和61年以降に奨励品種から外れ、代わりに「兵庫北錦」の普及が進められました。その結果、「フクノハナ」の生産量は全国的に落ち込み、栽培が盛んだった出石町でも生産の中止が危ぶまれました。しかし、石川県金沢市にある酒蔵の株式会社福光屋からの強い要望で、昭和63年から同社との契約栽培を開始。現在は、部会員64人が約66㌶で栽培しています。審査では、日本で唯一栽培される「フクノハナ」を、生産・流通・実需者が一体となって振興に取り組み、有機栽培や減農薬栽培といった自然環境への配慮にも尽力したことが高く評価されました。同生産組合の吉田準一部会長は、「部会にとってこれまでの取り組みを振り返る良い機会になる」と受賞を受け止め、「今まで以上にさまざまな事に挑戦していきたい」と意気込みを語りました。
今年度は4部門で計7団体が大賞を受賞しました。そのほかの受賞者は次のとおりです。
【キラリと世界へ輝く技術部門】 「株式会社 オフテクス(豊岡工場)」(豊岡市)
【観光・交流資源を活かしたツーリズム部門】 「株式会社 ハマダセイ」(香美町)
【新分野へチャレンジする経営革新部門】 「株式会社 キヌガワ」(豊岡市)
「有限会社 花房商店」(竹野町)
「但馬漁業協同組合」(香美町)