「香住ナシ」 病害抑制、収量・品質向上へ 微生物資材による土壌改良試験を開始
JAたじまの香住果樹園芸組合に所属する若手生産者でつくる「香住まったナシ」は、微生物資材を使ったナシ園の土壌改良試験を始めました。試験では、微生物資材に含まれる有用バクテリアを樹の根部に共生させることで、土壌内に潜む病害菌の分解や根の活性化を促し、病害の抑制と樹勢の強化による収量・品質の向上をねらいます。株式会社微生物農法研究所(静岡県)と農薬販売店の小林農芸ネオ株式会社(加古川市)の協力を得て行います。
12月19日、香住ライスセンターで、「香住まったナシ」の構成員や同研究所の研究員、行政、JAなど関係者ら約10人が、微生物資材を用いたナシのポット苗の育成を始めました。慣行、塗布、置肥、液肥の4種を検体に、来年9月にかけて病害の発生や苗木の生育具合を比較します。
美方郡香美町香住区はナシの栽培が盛んです。同組合の農家48戸が品種「二十世紀」を中心に、新品種の早生「なしおとめ」や晩生「新興」など約10品種を栽培しています。「香住ナシ」のブランド名で親しまれていて、今季は「二十世紀」だけで約118.5㌧を出荷しました。
管内では、果樹の根部を腐敗させる「白紋羽病」が拡散していて、生産者の頭を悩ませています。発症すると樹勢が弱まり、花芽の遅延や新梢の生育不良、葉の萎れや黄化、落葉などの症状が現れ、最悪の場合は枯死します。今までは土壌への温水点滴や罹患部への薬剤散布などの治療を行っていたましたが、病害菌を完全に死滅できず、再発や伝染する場合が多くありました。今試験は病害の根本的な解決につながるだけでなく、栽培するナシの品質や収量にも好影響を及ぼすため関係者から大きな期待が寄せられています。
同研究所の藤波悟さんは試験に対し、「微生物を活用すれば病害の発生を抑えるだけでなく、根が活性化し樹勢が強まるため生育の促進も見込める」と説明しています。「香住まったナシ」代表の田門健太さんは、「今までの治療方法では樹や生産者に掛かる負担が大きく根本的な解決になっていなかった。病害を予防しつつ樹勢を回復できるのは画期的。試験結果が楽しみだ」と話していました。