JAたじまピーマン選果施設稼働開始 日量10トン処理 処理能力は関西最大級
JAたじまは、重点振興品目として位置付けている夏秋ピーマン「たじまピーマン」の生産振興に力を入れています。その拠点となるのが、今年の3月に完成し、6月7日から稼働を始めた「JAたじまピーマン選果施設」(豊岡市但東町)です。従来の選果施設と比べて、一日の最大処理量は7.5tから10tに増加。ピーマンの選果施設としては、関西最大級の処理能力を誇ります。7~8月に迎える出荷最盛期にも荷受体制が整っていることで、JAや生産者ら関係者は市場への有利販売や生産・流通の規模拡大に期待を寄せています。
但馬地域は昼夜の寒暖差を生かして、古くから水稲が盛んに栽培されてきました。水稲の転作品目として栽培できるピーマンは、約50年前から豊岡市を中心に栽培を開始。JAでは園芸品目の要として平成13年の広域合併時に、現在の「ピーマン協議会」を発足し、ピーマン栽培が但馬全域に広まりました。平成27年には「たじまピーマン」の名称で地域団体商標を取得。生産振興に加えて、ブランド力向上に努めてきました。但馬地域は兵庫県のピーマン栽培の指定産地に選ばれています。現在は167人が同協議会に所属し、約12.2haで約11万本を栽培しています。出荷は11月下旬まで続き、主に京阪神の市場に出荷しています。
選果施設では、出荷されたピーマンのサイズを分けた後、袋詰めと箱詰めを行います。選果方式は、従来の画像解析による選果から、形状選別に変更。選果作業が1.5倍速くなりました。選果作業の早くなったことに加え、コンピュータスケールと袋詰め包装機は3機から5機に増設しました。
選果施設はこのほか、出荷物の安全性向上やリスク管理の強化として、出荷箱に個体識別番号を付与し、トレーサビリティ(生産・流通履歴を追跡する仕組み)のシステムを追加しました。万が一、出荷先で品質の安全面でトラブルがあった場合でも、番号を追跡することで柔軟な対応ができるようになりました。
JA特産課の木谷和喜課長は「処理速度が上がったことで、出荷先の市場が求める量に対して安定供給できるようになったのが大きい。価格競争力を強化し、京阪神に一番近いピーマンの一大産地として価値を高めたい」と話します。
新施設の延べ床面積は1252平方メートル。総工費は3億2000万円。農水省の農山漁村振興交付金を活用しました。