ピーマン栽培は農福連携が決め手 初年度から1000本栽培
ピーマンは生長スピードが速く、一日中収穫している日もしばしば――。7月に入り、関西最大の出荷量を誇るJAたじまの夏秋ピーマン「たじまピーマン」の出荷が本格化しており、ピーマン農家は収穫作業に追われています。そんな中、時間や手間のかかる収穫作業を農福連携の活用によって省力化し、今年から大規模でピーマン栽培に挑戦している農家がいます。
その農家は、兵庫県美方郡新温泉町で建設業を営む井上登士郎さん(写真右)です。井上さんは(有)富士建設の代表取締役を務め、以前から水稲を栽培していました。新しく栽培する品目を探していたところ、JAからの勧めもあり、栽培方法が確立している「たじまピーマン」の栽培を志しました。
しかし建設業の傍らでピーマンを栽培することは、6月から11月まで長期間にわたる収穫作業の労働力確保が問題でした。そこで、JAや行政からの情報提供も後押しし、引きこもりや知的障がい者などに収穫作業を委託する農福連携の活用を決心。井上さんは「ピーマン栽培に踏み切ることができたのは農福連携が決め手」と語ります。
農福連携を活用することで収穫作業の省力化が見込めることから、初年度でありながら新温泉町内で4番目に多い1000本を定植しました。JA浜坂営農生活センターの西村勇輝営農相談員は「農福連携を活用した、たじまピーマンの大規模栽培を推進し、産地全体の規模拡大に貢献したい」と話します。
6月下旬から、㈱ウィンラボ(新温泉町)が運営する就労支援B型事業所「ここすぺーす」の作業員が、井上さんのほ場でピーマンの収穫を始めました。午前中に週3回の頻度で作業を行っているほか、作業に対する報酬は、収穫量(1ケース約15kgごと)に応じて決まります。作業員は「ピーマンの収穫作業に没頭できてとても楽しい。収穫すればするほど報酬が増えるので、やりがいにつながっている」と笑顔で話していました。
井上さんは今後について「JAや同事業所ら関係機関と試行錯誤して、ピーマンの収穫作業だけでなく、毎日の管理作業の委託も検討したい」と話しました。