担い手160人が集結 30年産米生産に向けセミナー初開催
JAたじまは11月22日、水稲作付面積5ha以上の農家や営農組合など担い手160人を集めて「水稲大規模農家セミナー」を本店で開きました。尾﨑市朗組合長が、平成30年産からの米の生産調整見直しをふまえ、来年度以降の但馬地域における米生産に向けたJAの方針を農家に伝え、稲作の生産や販売の方向性を示しました。
JAたじまでは、32年を目標年度とした「中期計画Plan2020」で農業生産の拡大と農業者の所得増大に向けて、消費者の需要に基づいた米づくりの拡大を掲げています。30年産からは、行政による米の生産数量目標や直接支払交付金の廃止などにより、全国的に作付けの増加や価格の暴落が見込まれるため、これまで以上に需要に則した水稲生産が必要になります。
JAでは、消費者や販売先から但馬の米を求める声が強いことを受け、生産者、JAと実需者が一体となり生産から販売まで一貫した米づくりを拡げ、行政と連携して販路の拡大や販売体制の強化に努めることで、32年までに40万袋の集荷を目指します。
セミナーでは尾﨑組合長が、「高付加価値なお米のブランド力を一層高め、競争に打ち勝つよう、販売先の確保に向け体制を強化していく。また、低コストでコシヒカリとは作業時期の異なる多収性品種の面積を拡げて放棄田を減らすなど、担い手の所得を拡大し但馬の水田農業がより活性化するよう、生産者、JAと関係機関が協力していこう」とあいさつ。JAとして生産者を支えるため、乾燥調製施設の利用や出荷資材の助成、低コストの肥料・農薬などを提案し、業務用米作付けへの特別な対策などを示しました。
関係機関からは、全農パールライス株式会社専務取締役の前田守弘さんが、但馬の米に対する消費者の意見や期待などを報告。兵庫県農業共済組合連合会企画課主幹の松本吉弘さんが、収入保険制度の概要や現場からの声などに関する情報を提供しました。
担い手農家からは、米政策の大きな転換期を迎えた今、但馬の農業が存続できるよう農家の現状や意見をJAから国政の場へ届けてほしいとの声があがりました。
豊岡市出石町で水稲14haを栽培する瀬尾雅仁さんは、「生産調整の在り方の変化に対するJAの方策が具体的な数字などを含めて示してあり、次年度以降の米づくりへの不安感が少し払拭できた。作業の時期を分散できる品種の提案については、但馬での栽培実績や品種特性などを勘案して、次年度作付けの参考にしたい」と話していました。