環境負荷低減型農業推進へ 市町単位ではなく地域で協力を確認 JAと管内市町長の首長らが懇談
兵庫県但馬地域の市町・JAたじまなどで構成する但馬広域営農団地運営協議会は1月16日、環境負荷低減型農業の拡大に向けた但馬地域トップ懇談会を初めて開きました。
会議には、同協議会の会長を務めるJAの太田垣哲男組合長や、管内3市2町(豊岡市、養父市、朝来市、香美町、新温泉町)の市町長、関係者ら20人が参加。各組織の取り組みについて共有したほか、学校給食食材の地元産農産物の利用拡大や有機化、但馬牛を軸とした地域資源循環などについて話し合い、市町単位ではなく地域ぐるみで協力し合うことを確認しました。
政府が2021年に策定した「みどりの食料システム戦略」では、環境と調和のとれた食料システムの確立を図ることが定められており、これからの農業振興を進めるうえで「環境への配慮」が欠かせないものとなっています。
管内では3市がオーガニックビレッジを宣言し、2町の「人と牛が共生する伝統的但馬牛飼育システム」が世界農業遺産に認定されるなど、環境負荷低減型農業への意識が高まっています。そのほかJAでは、以前からコウノトリとの共生を目指したJAブランド米「コウノトリ育むお米」などの環境負荷低減・生物多様性保全に取り組んできました。これらのことから、行政・JAがともに環境負荷低減を農業振興軸にするまとまりができました。これを機に、個別の市町の取り組みから但馬全体の取り組みへと拡大すれば、但馬地域の大きな特長となり、農産物の評価だけでなく就農や移住、交流に但馬地域が選ばれるポイントとなることから、今回のトップ懇談会を行いました。
懇談会では、活発な意見交換が行われました。各市町が協力し、但馬地域内で農産物を供給し合う仕組みづくりを進めることなどの意見が挙がりました。最も話題にされたのは、環境を守ることと儲かることの両立です。環境負荷低減型農業の中に儲かる仕組みを組み込むことで継続と拡大が実現できることを参加者は確認しました。
懇談会の最後に、JAの太田垣組合長が「市町でそれぞれ環境が異なっているが、環境負荷低減型農業の拡大を、但馬地域全体の活動ととらえて、協力し合おう。そのためには、農林部門のほか関係部門も含めた協議を進めよう」とまとめました。
協議会では、今後も関係者らを集めた会議を行う予定です。